大鳥大社の境内
境内は往古日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の御霊である白鳥が飛来して、この地に留まると一夜にして種々の樹々が生い茂ったと伝えられことから千種の森(ちぐさのもり)と呼ばれています。
鬱蒼とした境内は一万五千余坪あり、珍しい木と共に三つの池があります。
東門そばの蓮池には、時々誘われるように白い鷺が止まり歴史を彷彿させるような場面にも出会います。
また、その池の本殿寄りには大いなる時代を感じさせる根上がりの大楠があり、清澄な精気を感じます。
その外、境内には平清盛が熊野参詣の途次平治元年十二月当社に祈願して詠んだ
かひこぞよ
かへりはてなば
飛びかけり
はぐくみたてよ大鳥の神
大略:蚕がかえって蛾になって飛びたてるように、我々も今から京に戻り武功を立てるのでどうか平氏一族を見守り育ててください大鳥の神よ
の歌碑があり、明治初年当社の大宮司であった富岡鉄斎の筆になるものです。
このことから平治元年頃この地では、養蚕が盛んに行われていたことが知られます。
同時に清盛は愛馬の「飛鹿毛」を奉納しましたが、それを模した神馬像もあります。
又、堺出身の与謝野晶子が詠んだ歌碑(田辺聖子氏筆)があります。
駿河屋と言う菓子屋に生まれた晶子は、本名を鳳(ほう)志ようと言い、生まれた町の神として大鳥大社をいつまでも崇敬していました。
和泉なる
わがうぶすなの
大鳥の
宮居のすぎの
青きひとむら
拝殿前の階段手前には、オガタマノキが対であります。
招霊木とも書き、神社とは大変縁のある木で榊のない所では代わりにこの木が使われ、神域の植栽にも使われます。
オガタマノキの手前の鳥居は珍しい八角形の柱を使っています。
大鳥大社の摂末社
摂社:大鳥美波比神社(おおとりみはひじんじゃ)
ご祭神:天照大神
相殿:菅原道真公
由緒:本社の境内東側に鎮座、もと当社は北王子村に鎮座であったが明治十二年に現在地に遷座した。
主神の外七柱を合祀する。
奥宮 霊石 影向石(ようごうのいし)
景行四三年に御祭神日本武尊の御霊が八尋の白鳥となって舞い降りた地とされ大鳥大社御創建 縁の地で中央に祀られる石は明神影向石(神石)と言われる霊石で創建以来から信仰の対象としてこの地に祀られている。
摂社:大鳥北濱神社
堺市西区浜寺元町三丁鎮座
ご祭神:吉備穴戸武媛命(きびのあなとたけひめのみこと:日本武尊の妃)
由緒:場所の移転はないが、明治六年に大鳥鍬靭神社から改称した。
摂社:大鳥羽衣濱神社
高石市羽衣鎮座
ご祭神:両道入媛命(ふたじのいりひめのみこと:日本武尊の妃)
摂社:大鳥井瀬神社
堺市堺区宿院町鎮座
ご祭神:弟橘姫命(おとたちばなひめのみこと:日本武尊の妃)
由緒:もとは大鳥郡八田荘村大字堀上大明神山に鎮座していたが、明治三十一年に本社に遷座し、大正十一年宿院にある本社のお旅所に遷座し今日に至る
以上が平安時代から、大鳥大社含め大鳥五社大明神と言われている。
いずれも式内社である。
末社:四社合祀殿
ご祭神:火鎮大神・宗像大神・稲荷大神・織姫大神